まことしやかに囁かれていますが…。
俺んちは四人家族で、いつもかみさんと上の子、一歳の下の子と俺が寝てるんだけど、この下の子がよくベッドから落ちる。
俺も気をつけて抱っこしながら寝たりしてるんだが、本当に毎日落ちる。
そんな時に夢を見たんだ。
寝てるのか起きてるのかわからないが、俺は横になって隣で寝てる子供を見てる。
子供はとくに寝返りをするわけではなく、おとなしく寝ているが、なんか周りになにかの気配がする。
俺は何故か体が動かなくなっていて、唯一動く目をキョロキョロさせて子供の周りを見ていたんだ。
何かが歩いてきた。
それは小さい人間のように見えた。
髪をてっぺんで束ねた、20センチくらいの槍のようなものを持った男が、子供の周りを歩いていた。
この小人たちは
かなり悪質なようです…。
やめろ!!と叫ぼうとしたが声はでない。
いきなり一人が槍を子供の手の甲に刺した。
子供は激しく暴れて寝返りをうった。
刺したやつはものすごい悪意に満ちた顔をうかべて、声をだして笑いやがった。聞いたこともない声で。
「ゲデゲデゲデゲデゲデゲデ」
言葉にしたらこんな感じ。
そいつらは何回も子供を刺した。
そのたびに子供は身をよじらせ、だんだんとベッドの縁に近づいていった。
そいつらは子供が端に近づくたびに、顔を歪ませ歓声をあげて喜んだ。
このままではまた落ちる、なんとかしなければ、と手を伸ばそうとするが体はうごかない。
子供は手や足をチクチク刺され、どんどん端に追いやられていく。
「ゲデゲデゲデゲデゲデゲデ」
という声だけが耳障りに聞こえてくる。
あとすこしでベッドから落ちそうだ。
やつらはさらに子供を刺そうとする。
やめろ!!と、さっきより強く思って手を伸ばしたら体を起こせた。
俺は何も考えずに、子供を刺そうとしてるやつに拳を降り下ろした。
「ぷげっ!!」
妙な声をあげて潰れたやつを横目にもう一人を殴った。
「ぷぎゅる」
耳障りな声を残してもう一人消えた。
次の瞬間、手に激痛がはしり俺は声をあげた。
みると最後の一人が親指の爪と肉の間に槍を刺して何かを叫んでいる。
俺は、こんなものを何回も刺したのか!!と、怒りに任せてそいつの上半身と下半身を掴んだ。
そいつは小さなナイフをどこからか取りだし、俺の手を切りつけた。
そのたびに痛みが走るが、怒りが勝っていた俺は雑巾を絞るようにそいつの体を力一杯しぼった。
「ぶげぶげぶげぶげ」
そいつもすごく耳障りな声を出して消えた。
へんなやつは消えた。
安心して子供を近くに寄せ、ほっとしたところで意識が途絶えた。
アラームでいつもの時間に目を覚まし、子供を見たがその日は落ちずにスヤスヤねむっていたが、手に違和感があるっていうか、ものすごく痛い。
見ると手の甲があちこち切れ血がにじんで真っ赤になっていた。
瞬間に夢のことが思い出され、背筋が寒くなったのを覚えている。
あれから一週間くらいたつ。
子供はベッドから落ちなくなったんだが、俺が夜中に突然チクッとした痛みで目を覚ますようになった。
子供に被害がでなくなったのはいいことですが、この父の苦悩はまだまだ続きそうです…。
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