また中庭の鉢植えが盗まれた。
近頃園芸委員を悩ませている盗難事件、その犯人は分かっている。
3年の不良連中が、何が楽しいのか校舎裏で鉢を割って遊んでいるのだ。
校舎裏は人通りもなければ校舎に窓も少ないため、不良の溜まり場として頻繁に使われている場所の一つだ。
僕は真っ先に生徒指導の顧問に報告した。
正義感が強いのはもちろん、大柄で強面なこの人こそが不良共のもっとも苦手としている教師なのだ。
「今回もきっと校舎裏です。先回りできれば現行犯で捕まえられますよ」
是非とも迷惑な馬鹿を黙らせて欲しいと以前から相談していたおかげで、この一言ですぐに動いてくれた。
急いで2人で駆けつけるとまだそこに人影はない。
巻き込まれると面倒だからと教師は僕に表に出ているよう言いつけ、一人で校舎裏に入っていった。
その後しばらくして、鉢が割れる音とその直後の教師の低い声を聞いた僕は安堵した。
以来、鉢を割る生徒はパッタリ居なくなった。
あなたにはこの意味が分かりますか?
意味が分かると、背筋が凍ります…
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怖いのが苦手な人は読まないで下さい…
【解説】『鉢が割れる音とその直後の教師の低い声』
教師の低い声、というのは、落とされた鉢が命中した時の呻き声だろう。
『3年の不良連中が、何が楽しいのか校舎裏で鉢を割って遊んでいるのだ』
『鉢を割る生徒はパッタリ居なくなった』
つまり、鉢を割っていたのは、屋上から鉢を落とし、生徒指導の顧問に当てるための命中率を上げるための練習であった。
そして、結果当てることができ、練習する必要がなくなったため、鉢を割る生徒はいなくなった。
この語り手であるが、この出来事の後、安堵している。
仮に無理やり関わらされたのであれば、『安堵』はせず、次に何をさせられるのか?という気持ちになるはず。
そして、
『迷惑な馬鹿を黙らせて欲しいと以前から相談していたおかげ』
と計画的犯行である。
仮にやらされていたのであれば、このようなことはできないだろう。
つまり、このように計画的犯行を堂々と行えているということは、語り手が主犯格の可能性が高いように思う。
不良たちにやらせたのも自分が疑われないようにするためであり、相談をしていることから、むしろ自分は被害者の立場である、と、見せることもできるかもしれない。
生徒指導の顧問と同時に不良たちも一掃する計画だとしたら、この語り手を恐ろしく感じてしまう。
出典: 【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ
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