世界を恐怖に突き落としているとんでもない『寄生虫』まとめです。
1.アリを洗脳するタイワンアリタケ
(出典:wikipedia)
ゾンビ菌とも呼ばれている。アリに寄生するキノコの一種である。
この菌がアリに寄生すると、アリは完全にコントロールされるようになる。
アリは自らの意志と関係なく、自分の巣から離れ、菌の生育に最適な温度と湿度を求めてゾンビのように林床を歩き出すのである。
そして最適な場所をみつけると、葉っぱの裏側の葉脈部分に下顎でひっつき、息絶える時までじっとしている。
感染してから死ぬまでは4~10日ほど。
最後は菌が成長してアリの頭部を破裂させ、死に至らしめる。
その時、菌は胞子を空気中にばらまき、他のアリに感染させる。
この感染は際限なく続くため、アリのコロニーを絶滅させる原因にもなっている。
2.自らをカニの卵と錯覚させるフクロムシ
(出典:wikipedia)
フクロムシはカニに寄生する生物。
写真の袋のようなものがフクロムシである。
一応この生物、甲殻類なのだが、脚が全て退化しているため、全くそうは見えない。
フクロムシがカニの体に入り込んで成長するとこのような袋が形成される。この袋のほとんどは生殖器で、卵巣に卵がたくさん詰まっている。それ以外はほとんど退化してしまっている。
恐ろしいことにフクロムシが寄生すると、カニは生殖器が機能を失い、繁殖能力が無くなる。そしてオスであった場合、ホルモンの量をコントロールされ、メスのように振る舞い出すのだ。
そしてメスとなったカニは、フクロムシを自分の卵だと思い込んで、自らの栄養を与え、まるで我が子のように大切にし始めるのである。
3.日本での被害が最も多いアニサキス
(出典:ihsansmarineinvertebrates)
日本において、最も寄生虫の被害をもたらしている存在といってもいいだろう。毎年2000~3000人が刺身や寿司(〆サバが特に多い)を食べて感染している。
アニサキスは胃腸に寄生し、穴を開けて入ろうとする。その際、激しい腹痛と嘔吐がおきる。
胃に寄生された場合には、内視鏡を使って取り除かれる。
一方で腸の中に入り込んだアニサキスは、取り出すことは出来ないためアニサキスが死ぬのを待つほかない。
アニサキスは、基本的に人間の体の中で成長することは出来ないので、必ずいつかは死ぬ運命にある。
4.性別をコントロールするボルバキア
(出典:wikipedia)
昆虫や魚類などの全無脊椎動物の70%に感染する細菌。ボルバキアが動物に感染すると、自らの繁殖のため、動物に様々な変化を引き起こす。
ボルバキアがオスに感染した場合、オスを死に至らしめる。そしてメスのみが生き、ボルバキアが卵巣に寄生して自分の子孫を産ませる。
また、ある種においてはオスをメス化し、メスとして繁殖できるようにする。
さらにメスの場合は、オスを必要とすることなくメスだけで生殖できるような状態へと変化させる。
5.足の皮ふを破壊するスナノミ
(出典:thepetitionsite)
中央アメリカや南アメリカなどの暖かい地域に生息しているノミの仲間。
ノミとしてはかなり小さく、1mm以下で最小種のひとつと考えられる。その小ささゆえ、寄生した後で発見されることがほとんどである。
スナノミは、足の裏に付着して皮ふの内部1cmまで進む。感染1~2日目には、ノミが動き回るため、かゆみや炎症が現れることが多い。
その後、スナノミは卵を皮ふの中に産み、足の裏で繁殖を続ける。そのサイクルが繰り返され、足の皮ふはぼろぼろになり、最悪の場合は感染症にかかって死ぬ。
↓スナノミに侵された足の裏
(出典:wikipedia)
6.クモを洗脳するクモヒメバチ
(出典:slaq)
クモヒメバチはコスタリカに生息するハチで、特定のクモに寄生して洗脳することで知られる。
寄生は最初にメスのクモヒメバチが、クモの腹部に卵を産むことから始まる。卵が孵って幼虫になると、幼虫は小さな穴を通してクモの生き血を吸って成長し始める。
この間、1~2週間はクモは巣を張り、昆虫を捕まえる、いつもと変わらない生活を送る。
しかし幼虫がサナギになる段階に近づくと、ある化学物質を放出し、クモを洗脳してさなぎを守るための巣を作らせるようになる。
↓洗脳前後のクモが作る巣(左が通常時、右が洗脳時)
(出典:imgur)
その後、幼虫が脱皮するときにクモを毒殺し、カラカラになるまで生き血を吸い、繭を作ってサナギになる。
繭は洗脳されたクモが作った巣の中で、外敵から守られた安全な状態で成虫となり、空へ羽ばたく。
7.皮ふをえぐれさせるリーシュマニア
(出典:wikipedia)
リーシュマニアは、熱帯に生息するサシチョウバエが人間の血を吸うことで感染する。
リーシュマニアに感染した人は、皮ふにただれ(潰瘍)を生じる。比較的軽症の場合はそのまま回復に向かうが、進行すると顔の外観を損なうほどに皮ふがただれ、深くえぐれ、死に至ることもある。
↓リーシュマニアに刺された時の初期症状
(出典:medicint)
WHOの報告によると、88か国で1200万人がリーシュマニアに感染しているという。
8.魚の舌に寄生するウオノエの仲間(Cymothoa exigua)
(出典:reddit)
Cymothoa exiguaはワラジムシなどで知られる等脚類の寄生生物で、魚のエラから入り込んで舌に寄生する。
メスは舌の上に、オスはその下のエラの部分に寄生する。
Cymothoa exiguaは、舌にある血管を切断して、舌を魚から切り落とす。そして最終的には、舌の代わりになる。
寄生虫は魚の舌を切り落とし、自分自身が舌になった後は、宿主にはほとんど被害を与えない。彼らはは宿主の血液と分泌される体液をエサとし、宿主と共生していくのである。
(出典:buzzfeed)
もし生きている時に触ることがあれば、噛まれるかもしれないが、基本的に人間に対して害を与えない。
また、寄生された魚と寄生虫を食べたとしても、毒はないので、気味は悪いが安心していい。
9.致死的な病気をもたらすトリパノソーマ
(出典:wikipedia)
トリパノソーマは、オオサシガメが吸血することによって感染する寄生生物である。トリパノソーマに感染すると、様々な病気を発症する。
トリパノソーマから引き起こされるシャーガス病にかかった場合には、体の器官が腫れあがる等し、重症になると心臓の破裂を起こすことがある。
ナガナ病が発症すると発熱や体重減少、貧血などを引き起こし、最終的には衰弱して死に至ることもある。
また、睡眠周期が乱れ、もうろうとした状態になり、さらには昏睡して死にいたるアフリカ睡眠病にかかることもある。
このようにトリパノソーマは致死的な感染症をもたらす、非常に危険な寄生生物である。
10.感染者数が最も多いトキソプラズマ
(出典:wikipedia)
トキソプラズマは猫を最終宿主とする寄生生物である。
主に猫の糞を、人間が何らかの形で口から摂取してしまうことが原因で感染する。
健康な人の場合、感染しても症状はまったく現れない。出たとしても、軽い風邪程度である。実際のところ、トキソプラズマは先進国において最も感染者が多い寄生生物で、全人口の30~50%が感染していると推測される。
特にフランスが最も多く、人口の84%が感染しているとの報告がある。
そうではあるが、免疫の低い子供やエイズ患者に対しては トキソプラズマ症と呼ばれる致命的な病気を引き起こすことがある。
この病気は軽症の場合、発熱・筋肉痛など軽い風邪に似た症状で済むが、重症化すると脳炎や神経系の病気になり死をもたらす。
11.生きたまま人を食べるラセンウジバエ
(出典:kirstymadigan)
人間を含めた温血動物の体に寄生するハエであるが、一般的なハエと明確に違うところがある。
それはウジ虫が死体を食べずに、生きた動物の組織を食べるということである。
このハエは動物の体に250~500個の卵を産み落とし、卵が孵ってウジ虫になると、動物の体に穴を開けて、組織を食い荒らす。
1週間程度経つと、宿主から離れて地面に落ち、サナギになる。数日後には既に成虫となっており、卵をまた動物の体に産み付ける。
この過程でどんどんと増殖を続け、感染者は知らぬ間にウジ虫の餌となり、死に至る。
12.象皮病の原因となるバンクロフト糸状虫
(出典:microbe)
フィラリアの一種で、ハマダラ蚊などが吸血することで感染する。
これに感染すると、数ヶ月後に首の部分(リンパ)が腫れあがり、風邪のような熱が出るようになる。一度治っても周期的にこの症状が起こり、最終的にはリンパ管が破壊される。
リンパ管が破壊されてしまうと、体液の一部の循環が行われなくなり、象のように体の部位がむくむ象皮病をを引き起こす。
↓象皮病の患者
(出典:wikipedia)
13.目に寄生するロア糸状虫
(出典:blumhouse)
これもまたフィラリアの一種である。眼虫であり、人の目に寄生する。
ロア糸状虫は、ウシアブなどが人間の血を吸うときに感染する。
最初にロア糸状虫は、人間の皮ふの脂肪部分に入り込み、炎症を起こす。そしてある場所で寄生虫が動きを止め、停滞する。その部位ではカラバール腫脹という腫瘍のようなものができる。
1~3日経つと、腫れは収まる。これは寄生虫がその場所から動き出すためである。最終的に目の中に移動して、寄生を続ける。このとき、目の周りに腫れが現れる。症状としてかゆみのほか、目の激痛、倦怠感、関節痛などを引き起こし、最悪の場合死に至る。
リンク:【閲覧注意】ロア糸状虫に寄生された目
14.血管に住み着く住血吸虫
(出典:nhm)
住血吸虫は、動物の血管に寄生する生物である。
WHOによれば、住血吸虫によって引き起こされる「住血吸虫症」は長期に渡り内臓を痛める慢性疾患であり、社会的影響が大きいとしている。世界では2億人以上が感染しており、死者数は20万人以上にのぼる。
住血吸虫は、主に不衛生な水との接触で感染する。人間の皮ふについた住血吸虫は、体内から酵素を放出して皮ふを溶かし、体の中へと進入する。
住血吸虫症を発症した場合、かゆみを伴う発疹が見られる。また、感染する部位によって、症状が異なる。
例えば腸に寄生した場合には、腹痛、下痢、血便が現れ、進行すると肝硬変や腹水がたまる。
↓写真は住血吸虫症により、腹水となった11歳の少年。
(出典:microbewiki)
15.失明させるオンコセルカ(回旋糸状虫)
(出典:motherboard)
こちらもフィラリアの一種で、感染した場合には角膜炎を起こして、最終的には失明させる寄生虫である。感染は主にブユの吸血によって起こる。およそ1700万人の患者がアフリカには居るとされている。
また、オンコセルカは「うなずき病」と呼ばれる、非常に奇妙な症状を引き起こす原因なのではないかと考えられている。
うなずき病は5歳から15歳の間に発症し、知的障害をもたらすのと同時に、病的に頷くようになる。うなずきは発作の一部であり、何かを食べ始めるかまたは寒さを感じた時にだけ現れる。
16.最も長い寄生虫、ギニア虫
(出典:wikipedia)
不衛生な水を飲むことによって感染する寄生生物で、長さが最大数十cmと人間に寄生する生物としては最も長い種のひとつと言える。
感染しても最初は症状は出ないが、1年程経過して寄生虫が成長すると、皮ふに水ぶくれが発生し痛みが出てくる。水ぶくれが出来るのは、主に脚の部分でそれ以外はあまり見られない。痛みが出ている期間は、歩行が困難になることもある。
その後、寄生虫は水ぶくれを破って、産卵のため皮ふから出てこようとする。そして患部が水に浸っている瞬間を狙い、寄生虫は皮ふから水の中に移り、産卵を始める。
17.歴史上最も人類を苦しめてきたマラリア原虫
(出典:livescie)
おそらく歴史上最も人間を苦しめてきた寄生虫と言っても良いだろう。全世界で毎年2億人以上が感染し、60万人近くが亡くなっている。
マラリアはハマダラ蚊などに寄生し、血を吸うことで人間に感染する。感染すると、寄生虫が血液中の赤血球を破壊することで、高熱を発生させる。もし、その寄生虫が血中に詰まった場合は、血流を阻害し、意識障害が現れ、進行すると昏睡状態に陥り、死に至る。
また妊娠した状態で感染すると、産まれてくる子供にも感染する可能性がある。恐ろしい感染症であることに間違いないが、現在マラリアは治療法が確立されているので、きちんと治療を受ければ、完治する可能性は高い。
18. 致死率ほぼ100%。殺人アメーバ、フォーラーネグレリア
(出典:livescie)
「殺人アメーバ」、「脳食アメーバ」などと呼ばれており、致死率が非常に高く、危険な寄生生物である。脳食アメーバと言われている通り、このアメーバは脳に感染する。
フォーラーネグレリアへの感染は、たいていの場合、不衛生な淡水が鼻に入ることで起こる。感染してアメーバが鼻から脳へと到達すると、匂いや味に変化が起こり始める。続いて吐き気、嘔吐、発熱、頭痛などを示す。その後アメーバが脳の組織を食べ始めると、脳組織が破壊され、2週間以内に昏睡して死に至る。
この感染症にかかった場合、生存率は1%以下であり、ほとんど治療法が無く、死を待つのみである。ちなみに日本におけるフォーラーネグレリアの感染は、これまでに1996年に起きた1件のみであり、感染のほとんどはアメリカで起こっている。
コメントを残す